時代の変化に伴って、賃貸の形も変化が必要

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6年くらい前、吉祥寺・中道通りに面したある建物の1階部分が空いたことを知った。たまたま家主様を知っていたため「賃貸にしてみませんか?」とお声をかけたところ、諸事情で一般的な賃貸にはできないとのご返答だった。この出来事がキッカケとなり、あるアイディアが浮かんだ。中道通り商店街は、東西に伸びる吉祥寺で一番長い商店街。そこで駅から離れた西側のお店が、一時的に駅に近い東側方面で営業してみたら良い宣伝になるのではと思い立ち、弊社社長に提案したところ了解を得ることができた。幸いにも家主様のご理解も得られ、リベストが運営するポップアップ店舗としてこの場所をお借りすることになった。

こうしてスタートしたポップアップ店舗だが、当初想定した西側の店舗の方による利用は、人材不足などの理由もあって意外と少なく、むしろ実店舗を持たない事業の方々が借りて下さった。さらに、これから店舗を探して出店しようと準備されている方もいて、「一番吉祥寺らしいと言われている中道通りの路面店の感触を掴むことができた。実際にお客様に商品の良さをお伝えすることができた」と皆様から利用して良かったとの声をいただいた。一般的な店舗を借りるには、資金面など大きな用意が必要になる。一方、ポップアップストアは短期間で消費者へアピールするためのアイディアと準備は大変だと思うが、気軽に営業ができる。消費者に手に取って商品をわかってもらえるチャンスを得たり、コミュニケーションを通じて作り手の(販売者)の顔や雰囲気がわかってもらえることは大きな利点だ。

近年、あまり良くない立地で店舗を借りている方でも、SNSなどで集客できている例が多く見受けられる。ポップアップストアの場合も、一等地の使用料は高いので、SNSなどをうまく活用することで若干離れた場所や上層階でもできるのではないか。シェアエコノミーが台頭する中で、貸店舗を所有する方が一般的な店舗だけでなく、ポップアップ店舗として賃貸する方法も十分検討できるようになってきたと感じる。時代の変化に伴って、賃貸の形も変化が必要だと思う。ポップアップストアの場合、弊社が取り扱う一般的な賃貸契約の貸店舗や商業施設等とは異なり、消費者(利用者)の要望を聞いた上でポップアップストアを展開するとか、テーマを決めて出店者を集めるなど運営の仕方によって店舗の価値が変わってくるようなことも考えられる。これは主に立地によって賃料が決まる貸店舗と違い、生み出す価値によってポップアップ店舗の賃料が決まってくるということ。ポップアップ店舗は、貸店舗の新しいカタチを見出していく上で様々な可能性を持っている。

氏名:
山田 妙子

所属:
株式会社リベスト 中道通り店・吉祥寺南口店 店長

プロフィール:
1961年生まれ、武蔵野エリア出身、株式会社リベスト入社は1988年10月(中道通り店は1991年10月開設時から)、2000年5月より株式会社リベスト中道通り店・吉祥寺南口店を兼務し、現職。楽しく仕事ができるために、楽しい環境(吉祥寺の街)を作りたい。と思っています。