スキマで見る夢、叶える夢 ~Vol.1~

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スキマハンターを名乗るようになったのは、かれこれ数年前。しっかりと名刺にも代表取締役の隣に「スキマハンター」と印字している。とあるテレビ番組の取材で、「スキマハンターの西浦さんです!」と紹介いただいたのがきっかけで、これは頂きとばかりにこのユニークな”称号”を使いはじめた。私の日々の活動を端的に表す言葉として、スキマハンター以外に的確この上ないものはないだろう。

そもそも、スキマハンターとは?世の中にある様々な土地・建物の「物理的なスキマ」と「時間的なスキマ」を発掘しては、そこに新たな価値を提供する活動をしている。「物理的なスキマ」の代表選手としては、たとえば建物の軒先部分や、営業中の店舗の出入口周辺のちょっとしたスペース、自宅の空いたガレージ、ビルの屋上などがある。いずれも、一般的は貸し借りの対象になどならず、誰にも見向きもされないような街のスキマだ。一方、「時間的なスキマ」というと、テナントがつくまでの空き店舗や、契約者が決まるまでの月極駐車場、飲食店の営業していない時間帯や定休日などだ。世の中の不動産のほとんどが365日24時間のうち、稼動していない時間帯や期間を持っている。
 こうした今まで誰にも注目されず、まさかお金を生むなどと想像もされていなかった街のスキマも、ひとたび視点が変わるとまさに「宝の山」に変わるのだ。

想像してみて欲しい。住宅街の空き地でマルシェが開かれていたり、殺風景なオフィス街に洒落たコーヒーのキッチンカーが出店していたり、ずっと空き店舗だったテナントスペースが期間限定のギャラリーになっていたりする風景を。いつもの日常が、ちょっとした非日常に変わる瞬間だ。それまでの街の空気を、少しだけゆるりと動かす、そんなパワーを秘めたスキマの魅力を伝えていきたい。

氏名:
西浦 明子

所属:
軒先株式会社 代表取締役 スキマハンター

プロフィール:
大学卒業後、ソニー株式会社等での勤務経験を経て、2007年の妊娠・出産を機に起業を決意。2008年4月に日本初のスペースシェアリングサービス「軒先」代表としてサービスを開始、2009年に軒先株式会社を設立。ポップアップ向けスペースシェアの“軒先ビジネス”、駐車場シェアの“軒先パーキング”を運営。2017年総務省ICT地域活性化大賞・奨励賞受賞。現在、全国の遊休スペースの活用提案に奔走。一般社団法人不動産テック協会の理事も務める。