お店の名前はひとつじゃない。
ポップアップストア、期間限定ショップ、旗艦店、アンテナショップ……。
たくさんの「○○ショップ」や「○○ストア」、「○○店」が軒を連ねる。
それぞれの名前がどういう意味かが分かれば、お店の名前をつけるときや、PRするときに役に立つはずだ。
ポップアップストアと期間限定ショップ
最近良く耳にする「ポップアップストア」というワード。実は「期間限定ショップ」とほとんど同じ意味で使われている。
ポップアップ(pop up)には「現れる」という意味があり、「今までお店がなかったところに、現れるお店」はポップアップストアだ。2週間〜1ヶ月ほどの期間限定オープンなので、ほとんど「期間限定ショップ」と同じ意味になる。
(参考:ポップアップストアとは。ポップアップストアのすべて)
ただし、ポップアップストアと期間限定ショップには、微妙なニュアンスの違いがあることは確かだ。
まっさらな何もない更地から店舗を作ったり、お店の外観をリニューアルしたりと「文字通り突然現れるお店」をポップアップストアと呼ぶ傾向がある。一方で期間限定ショップは、大型商業施設内にある催事場やレンタルスペースを用いる傾向がある。お店の外観はリニューアルできないので、内装に力を入れるのだ。
また、業界によってポップアップストアや期間限定ショップ呼び名がある程度決まることも。アパレル業界やコスメ業界は、ほとんどが「ポップアップストア」と名前をつける。期間限定のレストランでは、ポップアップレストランと名付けることもある。一方、スイーツ業界やアニメ業界は、「期間限定ショップ」と名前をつける傾向が強い。
また、ECサイト内でタイムセールのように「期間限定ショップ」と売り出すことはあるが、「ポップアップストア」と売り出すことはほとんどない。
インショップ(ショップイン)と路面店
インショップ(ショップイン)というネーミングは「ポップアップストア」に関係深い名前だ。インショップ(ショップイン)は、ショップ・イン・ショップの略。お店の中にお店がある形態だ。
例えば、伊勢丹や渋谷ヒカリエなどの商業施設には催事場がある。そのような店舗内のレンタルスペースに期間限定ショップやポップアップストアを出店すると、「ショップインショップ」となる。
一方、路面店は道路に面したお店のこと。屋根があるお店と考えるとイメージしやすいだろう。期間限定で路面店を貸し切ってお店を出店すれば、路面店のポップアップストアとなる。
商業施設内にある期間限定のポップアップストアや長期的に出店しているテナントはインショップ(ショップイン)。それと対比して、表参道に並ぶお店や商店街のお店は路面店。インショップ(ショップイン)と路面店は対比して使われることが多いのだ。
旗艦店(きかんてん)とフラッグシップストア
旗艦店(きかんてん)とフラッグシップストアは同じ意味。海軍の戦艦をイメージすると分かりやすい。他の戦艦に対して指示を出す司令官が乗る戦艦を旗艦と呼ぶ。
つまり旗艦店やフラッグシップストアとは、そのブランドの中心となる代表的な店舗のこと。フルラインナップで商品が揃っており店舗面積が最大級である場合が多い。また、旗艦店に来店したお客さんが、ブランドをイメージやコンセプトを感じられるように、店舗の外観や内装他店舗よりこだわっていることも多い。
旗艦店の事例としてまず挙げられるのが、UNIQLO銀座店。
1F〜12Fまですべてユニクロの銀座店は、世界一の品揃え。フルラインナップの戦艦店だ。
出典:uniqlo_ginza
2016年12月にオープンしたGUCCI 六本木ヒルズはブランドイメージを意識した旗艦店。クリエイティブ・ディレクターであるアレッサンドロ・ミケーレ(ALESSANDRO MICHELE)のコンセプトを盛り込んだ店舗だ。
セレクトショップとオンリーショップ
セレクトショップとオンリーショップは「店舗で取り扱うブランド数」という意味で対象的な関係にある。
セレクトショップは、店舗のコンセプトによって選ばれた色々なブランドが集まったお店。それに対しオンリーショップは、ある特定のブランドのみのお店だ。
セレクトショップは、基本的に複数のブランドをから商品を卸し販売するが、自社で開発したプライベートブランド商品を販売することもある。またオーナーや運営会社が同じでも、店舗ごとにコンセプトを変えて扱う商品を変えることもあり、クリスマスやバレンタインなど特定のシーズンに合わせたポップアップストアの出店と相性が良い。
(参照:ポップアップストアごとにテーマを変える。The Editorialのポップアップストア事例)
以前までのオンリーショップは、シューズブランドやアパレルブランドを取り扱っていることが多かった。最近では、アニメグッズやコミックを販売するanimateが、アニメ作品のオンリーショップを展開している。
ある特定のアニメ作品のグッズを、既存店舗内で期間限定販売するのだ。言ってみればオンリーショップであり、ショップインショップであり、ポップアップストアでもある。
適切なネーミングで効果的なアピールを
「○○ストア」や「○○ショップ」には様々なネーミングがある。それぞれのネーミングは、当然異なった意味を持ち、人々が受ける印象も違う。
店舗を出店する際に、PRのために「どんなネーミングか」を考えるのは消費者心理上とても大切だ。
最近認知され始めた「ポップアップストア」を用いれば、「新鮮さ」や「流行性」をアピールできる。一方「期間限定ショップ」を用いれば「限定感」「プレミア感」を演出できるだろう。
「表参道」や「銀座」といったブランド力のある地域、「渋谷ヒカリエ」や「三越」といった有名な商業施設で出店できるなら「インショップ」と「路面店」というネーミングが良いかもしれない。
お店のコンセプトにこだわりを持っているなら「セレクトショップ」。商品ブランドのこだわりや良さをアピールしていきたいなら「オンリーショップ」。
ネーミングによって、アピールポイントを的確に伝え、お客さんに与えたいイメージを伝えることができるのだ。