ポップアップストアとは。ポップアップストアのすべて

ポップアップストアやポップアップショップとはどういう意味か。
それは以下でまとめられる。

  1. ポップアップストアとは、数日〜数週間のみ出店する期間限定の店舗のこと。
  2. 「ポップアップストア」には「突然現れるお店」といったニュアンスがある。
  3. ポップアップストアとポップアップショップ、ポップアップリテールに意味の違いはない。
  4. 催事場・駅や商業施設の空きスペース・レンタルスペース・空きテナントによく出店されている。
  5. 販売チャネルの増加やプロモーションを目的に出店される。

このポップアップストアのある場所は再開発地域。殺風景な工事現場に突如カフェが出現した。

ポップアップストアやポップアップショップとは、短期間のみ出店する期間限定の店舗のことだ。催事場や駅構内の空いているスペース、空き店舗などに2週間〜1ヶ月程度出店することが多い。
アパレルブランドの新コレクション発表やECサイトのオフライン販促、海外ブランドの日本進出、新サービスのプロモーションなどで良く出店される。

最近「ポップアップストア」や「ポップアップショップ」、「ポップアップリテール」といった言葉がよく使われる。
ただ、あまり意味を分かっていないまま使っている人も多いかもしれない。この記事読むことで、「ポップアップストア」についてしっかりと理解して欲しい。

ポップアップストアの概要

そもそもポップアップストアは、最近になって使われるようになった出店方法だ。そのため、似たような言葉が混在している。

まずは、ポップアップストアとポップアップショップ。
両者はほとんど同じ意味で使われている。現時点では若干「ポップアップストア」の方がよく使われているようなので、特に意味がない場合は「ポップアップストア」で良いだろう。
サービス名によっては、ポップアップショップの方が語感が良かったりと、ほとんどネーミングによって使い分けられている

また、全く同じ意味のポップアップリテールという言葉があるが、日本ではほとんど使われない。
ポップアップレストランという言葉も時伽使われるが、「ポップアップストアのレストラン版」というイメージだ。

次に、ポップアップストアに似た言葉に、従来から使われていた「期間限定ショップ」が挙げられる。
期間限定ショップとポップアップストアに明確な区別はないが、異なるニュアンスで使われることが多いようだ。

ポップアップストアは「企画」や「アミューズメント性」を重視する傾向があり、「お店に行くだけで楽しめる」お店づくりを意識する。一方で期間限定ショップは、どちらかというと「商品のオリジナル性」を重視する傾向がある。例えばコラボ商品や期間限定商品といったようにだ。

また、英語のpop upには「現れる」という意味があり、ポップアップストア(Pop-up Store)には「今までお店がなかったところに、突如現れるお店」というニュアンスがある。一方期間限定ショップは、デパートの催事場やお店のなかのスペースに使う「インショップ型」がイメージされる。

海外では、何もなかった土地に、店舗から作り上げるポップアップストアの事例が多く、「突然表れる」というポップアップ(Pop-up)というニュアンスが分かりやすい。ただ、明確に区別されているわけではないので、マーケティングやブランディングを意識して名前をつけるのが良いかもしれない。というのも、土地が限られている日本では、「ポップアップ」と名前がついていても、ポップアップストアを出店する「イン・ショップ」型が主流だからだ。

ポップアップストアのメリット

ポップアップストアには、固定店舗にはない大きな特徴がある。どんな文脈でポップアップストアを出店するのかを知ることで、特徴が見えてくるのだ。

メリット1:ポップアップストアには、売上だけでなくプロモーションの側面がある

 ポップアップストアのような「お店」というと、「売上」が真っ先に思い浮かぶ。もちろん売上も大切だが、ECサイトやブランド名、新商品の認知といったプロモーションといった側面もポップアップストアの大切な要素だ。

例えばECサイトがポップアップストアを出店する場合、売上というよりはマーケティング戦略の一環という文脈のことが多い。従来行ってきたweb広告といったオンラインの集客だけではなく、オフラインでの集客方法としてポップアップストアが用いられるのだ。

ポップアップストアを出店することで、ECサイトの存在を認知してもらえる。実際に商品を見てもらうことで良さを感じとってもらう。商品を良いと思ってもらえればまた買いたくなる。ポップアップストアでの体験がECサイトでの購入動機になるわけだ。

また、ポップアップストアは期間限定。そのため様々なメディアから取り上げられる可能性が高くなる。既存店舗で期間限定キャンペーンやイベントを行ってもメディアが取り上げる可能性は高くない。一方、「期間限定の店舗」というのは、話題性が高くメディアとしても扱いやすい。その期間が過ぎれば、そのお店には二度といけないからだ。

メリット2:リスクを抑えたオフライン集客が可能。

今や1兆円を超える市場規模にまで成長したインターネット広告。前年比は常に右肩上がりで新しい広告手段として完全に定着した。

一方で、従来とは異なるターゲットへのリーチ、よりマスへのアピール、話題性の獲得と言った理由から、オンラインだけでなくオフラインでの集客を考える担当者も多い。ただ、TVCMや看板広告をはじめとしたオフラインでの集客では、オンラインにはない様々なリスクがつきまとう。

例えば、オンラインの集客のようにリーチ数やコンバージョン数が数値化されないので、予算が獲得しにくかったり、社内に成果をアピールしにくかったりする。
また、多くのオフライン集客では、web広告のように「成果が出なかったから辞める」「投下費用を縮小する」といった調整がしにくい。広告の掲載期間は予め決めているからだ。

一方ポップアップストアは、オフラインのリスクを抑えることができる集客方法だ。

まず、ポップアップストアは、他のオフライン集客と比べ成果の数値化がしやすい。ポップストアへの来店数や購入数、SNSでの拡散数、該当期間でのブランド名の検索数などを出店前と出店中で比較することで、どれぐらいの成果があったかが分かる。ポップアップストアは短期間での出店になるので、比較しやすいのだ。

また、2週間〜1ヶ月程度の期間限定の出店なので、投下費用が算定しやすく撤退時のリスクを算定しやすい。TVCMや看板広告のように長期間の大きな投資をしなくてすむので、予算も獲得しやすいのだ。

メリット3:ポップアップストアにはSNSの拡散力がある。

ポップアップストアはプロモーションの側面もあることは先に述べたとおりだが、なかでもバイラルマーケティングと相性が良い。

ポップアップストアには「期間限定」といった要素がある。新しくお店を出店し、「限られた期間だけ」オープンするからだ。そして、これはソーシャルの拡散に向いている。

そもそも日本人(特に女性)は「期間限定」という言葉に弱い。「期間限定商品」や「期間限定セール」と聞くと、ついつい買いたくなる経験は誰にでもあることだろう。この「期間限定」をうまくアピールすることでtwitterやFacebook、Instagramで拡散してくれる可能性が高くなる。ポップアップストアの費用対効果が格段に高くなる可能性があるのだ。

SNSに拡散されると、それを見たお客様に商品を知ってもらえたり、ポップアップストアに訪れてくれたりする。たとえ来店までいかなくても、さらに情報をシェアしてくれる可能性も望める。

そして、拡散されたお客様が実際に来店してくれた場合、ポップアップストアの外観や購入した商品などをSNSにアップすることが多いようだ。すでに拡散された情報がキッカケで来店しているので、SNSに情報発信することに抵抗がないからだ。

面白いのは、SNSのネットワークは「趣味嗜好が近い人たちの集まり」であるという点。ある人が「行きたい!」と感じて発信した情報は、同じように「行きたい!」と感じている人にリーチしやすい。うまくいけば雪だるま式に、ポップアップストアや商品、ECサイトのファンを増やすことができる。

また、より意図的に拡散してもらうために、ポップアップストアに話題性を付け加える事例が増えている。
例えば、ファッションブランドの「エルメス」は、和の雰囲気が残る京都・祇園にポップアップストアを展開することで大きな話題になった。エレガントでスタイリッシュなブランドイメージと厳粛で古来日本を感じさせる祇園の融合が、意外性とギャップを生み出した。これが銀座や表参道で出店しても、ここまで話題にはならなかっただろう。

イギリスの食品会社「Birds Eye」は、SNSに拡散してもらうために直接的な方法を行った。ポップアップストアにて新商品でできた料理を販売し、なんと支払いをInstagramへの投稿でできるようにしたのだ! すでに多くの人の実感値にあるとおり、今や料理とSNSへのアップはセット。むしろSNSのアップするためにお店に行くことさえある。そんな人々の生活様式の変化をうまくついた方法は、人々の話題をかっさらったのだ。

バイラルマーケティングを仕掛けるにあたり、どうしても「オンラインで完結する」と思いがちだ。しかし、インフルエンサーや拡散のハブとなるwebメディアは、インターネットの情報だけでなくオフラインの情報からもネタ収集をする。

そこで、オンライン上のコンテンツだけでなく、オフライン上のコンテンツを提供することで、バイラルマーケティングの成功率がぐっと高まるのだ。

メリット4.一時的に販売チャネルを増やすことができる。

 プロモーションの側面があるポップアップストア。当然販売チャネルの拡大という意味でも有効だ。
いちばん分かりやすいのは、クリスマスやバレンタインシーズン。この時期だけ、販売チャネルを増やすのにポップアップストアは有効な戦略だ。

例えば、言わずと知れたチョコレートブランド「GODIVA」は、バレンタインシーズンのみ極端に期間限定店舗を増やすことで知られている。固定店舗では対応しきれない需要の拡大を、ポップアップストアでカバーしているのだ。ポップアップストアは撤退が容易なので、「売れると分かっているシーズン」にのみ狙い撃ちで販売網を広げることができる。

クリスマスやバレンタインといった季節要因だけではなく、新商品の発売といった社内事情でも「狙い撃ちのポップアップストア」は有効だ。
一般的に新商品の発売時には、広告費を投下し商品の認知を行う。その際、一時的に増えた需要にモレなく対応するためにポップアップストアを活用すできる。
固定店舗を出店するとなると、数年間の計画を立てなければならず、一時的な需要の増加に対応しきれない。
一方、ポップアップストアは数週間〜長くても数ヶ月の計画を立てれば良いので、計画が立てやすいのだ。

ポップアップストアの失敗例

ポップアップストアを出店する際には、メリットだけでなく当然デメリットもでてくる。
よくある失敗例を事前に把握することで、対策するなり受け入れるなり、出店する上で参考にしてほしい。

失敗例1.ポップアップストアの目的が不明瞭

期間限定ではない通常の店舗の目的は、だいたいはっきりしている。売上や利益だ。
一方ポップアップストアでは、期間限定であるという点、そしてポロモーションという側面があることから、売上だけを目的にしないほうが良い場合がある。

ここで大切なのは、出店前から目的をしっかりとさせるということ。
「お店を出すんだから売上が目的でしょ?」と思い込むのではなく、改めて「何のためにポップアップストアを出店するのか」を考えるべきだ。
ポップアップストア自体の売上がなくても、例えば「ブランド名の検索数が上がっており、ECサイトの売上につながった。」とか
「店舗全体の売上は良くないが、ある商品の売上だけ素晴らしく、お客様にフィットすることが分かった。」といったことがある。
「ある指標ではポップアップストアは最適な戦略だった」のに、売上だけを成功指標にしてしまうと見逃してしまうことがあるのだ。

記事の下部にある「ポップアップストアと業界ごとの基本戦略」参考にし、自社の問題点や改善点を加味して
「何のためにポップアップストアを出店するのか」をしっかりと言語化して欲しい。

出店の目的が言語化されたら、次に指標化の方法を考える。
例えば、サービス・ブランド名の検索数・アンケート・ハッシュタグの増加数・会員登録数などが挙げられる。
ポップアップストアは、お店である一方でプロモーションでもある。
プロモーションである以上、売上や利益以外の指標も追わないと、せっかくのプロモーションの評価ができなくなってしまうのだ。

失敗例2.「他で売れているから」という理由で商品を選ぶ

ポップアップストアは、固定店舗と大きく異なる点がある。
繰り返しになるが期間限定である点だ。

実はこの2点、「他で売れているから」という理由で商品を選ぶ失敗につながる。

期間限定であることは、リピート回数の全体量が少なくなるというということでもある。
当然、「出店期間を過ぎると、もう行けない」という思いは、リピートにつながりファンは短期間にリピートしてくれる。
一方で、ファンというほどではないお客様は、期間限定であるポップアップストアでは二度とリピート客ではなくなってしまう。
結果として、固定店舗よりもリピート数の全体量は少なくなることが多い。(つまり新規客が多い状態になる。)

ポップアップストアでは、このように「リピート数が少なく新規客が多い」という性質があるので、
そもそも「一見して価値が分かりにくい商品」は陳列すべきでないのだ。

しかし「ECサイトで売れているから」や「固定店舗で売れているから」という理由で商品を選んでしまうことが多い。
もしかしたら、その商品は、何回も検討して始めて売れる商品かもしれないのにだ。

そんなポップアップストアの性質を加味して、陳列すべき商品は
1. 値段が安い商品
2. デザインが良い商品
3. 期間限定商品
4. ギフトに使える商品
に大別される。

値段が安ければ、購入に対してハードルが少ない。一方、値段が高くなるとハードルが高くなり、何回も検討しないと購入しようとはしない。
デザインが良いと、視覚的に商品の良さが伝わる。一方で性能に訴求した商品は、それを理解し比較するのに時間がかかる。
期間限定の商品は分かりやすいだろう。そもそも売れやすい上に、期間限定の店舗で売っている期間限定の商品はプレミア感を顧客に与える。
ギフトに使える商品は、ふだん自分が使う商品とは別の動機で購入される。多少高くても良いものを買いたいし、よくある商品は贈りたくない。
それは、ポップアップストアというイベント性・話題性とマッチする。「●●っていう今月しかやっていないお店で買ったんだよ」というエピソードつきで大切な人にプレゼントしてくれるだろう。

一方で、「どうしてもこの商品を売りたい」という場合はどうするか。
その商品が上記の4項目に当てはまっていない場合は、商品を売るのではなく、体験してもらうだけという施策に倒すべきだ。
その方向の代表格が、体験スペース・イベントとなる。

ポップアップストアでは、サービスや商品の体験・イベントを開催する例がかなり多い。
特に相性が良いのがECサイトだ。
画面越しでは分からない商品の質感、手ざわり、サイズ感を訴求することが可能になるからだ。

このように、4項目に当てはまらない商品を陳列している暇があったら、その商品を体験できるコンテンツ設計に時間を割くべきというのが基本。
大切なのは、商品を体験してもらうことに全精力を傾けることだ。
クロージングのセールストークはポップアップストアではそれほど必要ない。
商品の魅力が伝わったなら、「期間限定であること」が勝手にクロージングしてくれるからだ。
ポップアップストアで買ってくれなくても、自社のECサイトで買ってくれる。

ポップアップストアと業界ごとの基本戦略

ひとくちにポップアップストアといっても、業界によって戦略が異なる。
自社が属している業界のポップアップストア戦略がどのようなものか参考にしてほしい。

アパレル業界のポップアップストア戦略


ポップアップストアを一番出店する業界はアパレル業界。
アパレル業界がポップアップストアを出店する目的は、だいたい以下だ。
1. シーズンごとの新作コレクションの発表
2. ブランドコンセプトの認知

アパレル業界のポップアップ戦略でおさえておきたいのは、季節要因が強いということ。
SS(春夏)やAW(秋冬)といった用語がアパレル業界では一般的。それほど季節が大切だ。
ポップアップストアの大きな特徴は「期間限定」なので、季節要因が強い商品と相性が良い。

ポップアップストア戦略を採用している会社は、新作のコレクションの発表に合わせてポップアップストアを出店する。
従来から、バイヤーなどのB2B向けに「展覧会」という形式で新作コレクションを発表してきたが、
最近ではB2B向けだけでなく、B2C向けにその場で販売も行う「ポップアップストア」という形式が増えてきた。

ポップアップストアの出店タイミングは新作の発表時期だが、売上だけでなくプロモーションが目的のことも多い。
アパレル業界は、ブランドイメージが特に大切な業界だ。
そのため、他の業界よりもポップアップストアの外観や内装にこだわり、ブランドイメージの体現に注力する。
外観や内装を自由にカスタマイズできる、路面店型のポップアップストアが他の業界より多い。

飲食業界のポップアップストア戦略


飲食業界でのポップアップストア戦略の多くは、
シーズンを狙い撃ちして販売チャネルを増やす
ことがほとんどだ。

アパレル業界と異なり、飲食業界のポップアップストアは売上が目的のことがほとんど。
あまりプロモーション目的のポップアップストアは出店しない。

また、飲食業界は1店舗ではなく同時期に多店舗展開することが多い。
クリスマスやバレンタインといったかき入れ時に、一気に販売網を広げるのだ。
最近では、ハローウィーンやイースターといった新たなイベントが認知されつつあるので、
飲食業界のポップアップストア出店は、増加傾向にある。

出店場所の多くは、大型商業施設の催事場。
最近では駅内で期間限定店舗を出店する事例も増えている。
というのも、他の業界に比べて飲食業界のポップアップはメディアに取り上げられることが少ない。
「ポップアップストア」という名前が知られるようになる前から、
「期間限定ショップ」という名前で期間限定店舗を出店してきた歴史があるからだ。

そこで、飲食業界のポップアップストアの多くは、すでに集客網となっている大型商業施設や駅に出店する。
こういった場所では、店舗外観や内装をカスタマイズできる自由度はほぼないが、
アパレル業界のような、コンセプト設計より、商品の売上を目的としているので問題ないのだ。

アイドル業界のポップアップストア戦略


アイドル業界でポップアップストアの出店が増えてきており、
ライブやCDリリースに合わせて出店することが極めて多い。
戦略としてはシンプルで、物販の売上を伸ばすこと。

すでに一定のファンを獲得していることが多いので、プロモーションが目的というよりは、
ライブのオリジナルグッズやCD自体の売上を狙っている。

出店場所としては、渋谷や原宿、新宿など、人が行き交うエリアに坪単価が高くても出店することが多い。
また、CDショップのスペースにインショップ型のポップアップショップを出店する傾向もある。

他の業界より顕著なのは、バイラルマーケティングに力を入れていることだ。
もともと固定客が多く、メディアにも取り上げられやすい業界だけにポップアップストアの「話題作り」に力を入れることが多い。
特に多いのが、アイドルの背景に写真を取れるフォトブースの設置だ。
アイドルをバックに写真を取り、それをSNSにアップする。そして、それを見たファンがポップアップストアに訪れる。
こういった好循環を作るのが、アイドル業界の基本戦略だ。

アニメ業界のポップアップストア戦略

アイドル業界と並び、最近増えているのがアニメ業界。目的としては、物販の売上がメイン。

アイドル業界と同じく一定のファンを獲得していることが多い業界ではあるが、アイドル業界よりも若干プロモーションが目的の場合もある。
というのも、人気アニメの第二期公開や映画公開にあわせポップアップストアを出店することが多いからだ。

出店場所としては、アニメショップの店内で行うインショップ型がほとんど。
また、ファンが購入したグッズをSNSにアップしやすいのでバイラルマーケティングがしかけやすい業界でもある。

ECサイト業界のポップアップストア戦略

まだまだ数は少ないが、ポップアップストアを有効活用しているのが ECサイト業界だ。
リアル店舗で出店しそれをECサイト化するといった、オフラインからオンラインの流れはもともとある傾向だが、
最近ではECサイトでオープンし、それからポップアップストアを出店する、オンラインからオフラインの流れが増加傾向だ。

ECサイトによるポップアップストアの出店は、おおきく2つの目的がある。
ひとつは販売チャネルの拡大、もうひとつはプロモーションやマーケティングだ。

販売チャネルの拡大については、「オンラインのチャネルだけでなくオフラインのチャネルを持ちたい」というところから来ている。
オンラインでの消費活動が一般的になるにつれ、ECサイトの競争が激化するようになってきた。
そこで、オンラインだけでなくオフラインでも販売チャネルを作っていきたい人が多くなっているようだ。

プロモーションに関してECサイトが良いのは、ポップアップストアの出店自体がECサイトを知るキッカケになること。
従来のwebマーケティングではリーチできなかったターゲットを、リアル店舗を出店することでリーチしていくのだ。
例えば、ポップアップストアの商品に対してECサイトで会員登録をしてくれたら●●円引きといったキャンペーンをしかけたり、
ECサイトで使えるクーポンを配布したりする。

ポップアップストアの事例

 ポップアップストアの事例を知りたいならまずは、ポップアップストア国内事例を見て欲しい。単なるニュース記事だけではなく、実際にライターが足を運び、関係者にインタビューをするなど一次情報を発信している。

ファッション業界のポップアップストア事情について知りたいなら、FASHION HEADLINEがおすすめ。ニュースが多く「どんなブランドがポップアップストアを出店しているのか」が分かりやすい。

他にも、国内のポップアップストアに関しては、数億円を調達して話題になったSHOP COUNTERも参考になる。概ね個人店舗といった比較的小規模の事例が多く、事例紹介のあとにSHOP COUNTERに登録しているスペースが紹介しているので、実際に予約を考えている人には分かりやすいと思う。

海外では、appear【here】Storefrontが参考になる。日本はまだまだポップアップストア後進国なので、イギリスやアメリカといったポップアップストアが盛んな海外に目を向ける必要があるだろう。特に海外では、店舗商品の売上というより、ブランドイメージやプロモーションといった観点からポップアップストアを出店する事例が増えている。日本ではあまり見られない「遊び心」が盛り込まれたポップアップストアがよく見られる。

今後は日本でも、ポップアップストアがどんどん増えることが予想される。先行者の事例を参考にしたり、事例を深堀りしたりすることで、一足先にお客様の心を掴むポップアップストアを出店できると思う。早い者勝ちだ。